小さな「お兄ちゃん」の背負わされた重荷
元気いっぱいで、一見すると何の問題もなさそうに見えるBくん。しかし、彼とご両親の間には、目に見えない深い溝ができていました。まだ甘えたい盛りの彼ですが、家には幼い妹がいます。ご両親の口癖は、いつしか「Bは、お兄ちゃんだから」になっていました 。
妹が何かいたずらをしても、叱られるのはいつもBくん。「お兄ちゃんだから、妹に優しくしなきゃダメでしょ」 。そんな言葉を浴び続けて育った彼は、小学校に上がる頃には、すっかり自分への自信を失っていました 。誰よりも甘えたいはずの場所で、誰よりも「完璧」を求められる――。その息苦しさが、彼の本来の明るさを覆い隠してしまっていたのです。
教室で見せた「本当の顔」と、消えない自己否定
ところが、子ども教室まぁはすで見せるBくんの姿は、家での評価とは正反対のものでした。 彼は非常に高いリーダーシップを持っていました 。さらに、読書家である彼は、自分が読んだ本の内容を他の子どもたちにも分かるように丁寧に、そして面白く説明する素晴らしい能力を持っていたのです 。
「Bくん、今の説明すごく分かりやすかったよ!」「すごいね!」 周囲の子どもたちや先生がどれだけ本気で褒めても、彼は嬉しそうな顔を見せません。それどころか、「自分なんてダメなんだよ」と不貞腐れてしまうのです 。 彼の心の中には、「親からありのままを認められていない自分は、何をやってもダメなんだ」という強固な自己否定が根を張っていました。どれだけ外で評価されても、心の土台である「親からの肯定」が欠けているため、称賛の言葉が砂に水が吸い込まれるように消えていってしまう――。私は、この「心の空洞」を埋めるには、親子関係の再構築しかないと確信しました。
親と子の「視点」を合わせる
私は、Bくんが自尊心を取り戻せるよう、意図的に彼がリーダーシップを発揮できる場面を増やしました 。そして最も大切にしたのが、お迎えに来た親御さんとの対話です。
「今日、Bくんはこんなに素晴らしい活躍をしてくれましたよ」 「こんなに難しい本を、みんなに分かりやすく解説してくれたんです」
日々、Bくんの「優れた点」を具体的にお伝えし続けました 。最初は半信半疑だったご両親も、第三者である私たちが語る「家とは違う息子の輝き」を聞くうちに、少しずつ彼を見る目が変わっていきました。「お兄ちゃん」という役割のフィルターを外し、一人の「Bくん」という才能あふれる少年に目を向け始めたのです。
それからしばらくして、変化が訪れました。Bくんは本で読んだ知識を活かして自作の道具を作るようになり、それを誇らしげに周囲に見せたり、教えたりするようになったのです 。 家でも「ありがとう」「すごいね」という言葉が増えるにつれ、彼の顔からは不貞腐れた影が消え、心からの笑顔が戻ってきました 。
親子関係は、いつからでも「本物」になれる
親子関係の改善に必要なのは、子どもを「変える」ことではなく、親が子どもの「良さ」を見つけるレンズを磨き直すことです。 「お兄ちゃんだから」という役割で縛るのをやめ、その子の知性や個性をありのままに祝福すること。その小さな一歩が、子どもの人生を根底から救うことがあります 。
まぁはすが目指すのは、子どもたちが「自分は自分のままで素晴らしい」と確信できる環境を、すべての子に届けることです。今回のクラウドファンディングを通じて、Bくんのような葛藤を抱える子どもたちに、再び笑える日をプレゼントしたい。皆様の温かいご支援が、親子の絆を結び直す大きな力になります。
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