では、この「非認知能力」は、どうすれば育つのでしょうか。ドリルや塾では身につきません。その答えが、文部科学省も重視する「リアルな体験」や「読書」の中に答えがありそうです。
今回は、海外の教育でも注目されている、一歩進んだアプローチをご紹介します。
体験①
「家族で社会貢献」プロジェクトを立ち上げる

欧米の教育で重視されるのが、子ども自身が社会課題を見つけ、解決に貢献する「サービスラーニング」です。
夏休みを利用して、家族で小さな社会貢献プロジェクトを企画してみましょう。
例えば、「近所の公園のゴミ拾い」から始め、「なぜゴミが減らないのか?」を親子で話し合い、「ゴミを減らすためのポスターを作って、公園に貼らせてもらう」まで発展させる。 この一連の活動は、社会の一員としての当事者意識(積極性)、課題解決のための計画性(自律性)、そして地域を思う利他の心(協調性)を育む、最高の学びになるでしょう。
体験②
「おうちで異文化体験」を企画・実行する

今や、海外旅行をしなくても、簡単に世界と繋がることはできるようになりました。
そこで、お子さんに「今週は〇〇(国名)ウィークにしよう!」と提案し、企画の主導権を渡してみてはいかがでしょうか。
お子さん自身が、タブレットでその国の料理を調べ、一緒にスーパーへ買い出しに行き、食卓ではその国の音楽を流す。簡単な挨拶を覚え、家族に教える。
実は、以前、まぁはすでは英語とおやつ時間を掛け合わせて取り組んでいたことがあります。
この体験は、単なる楽しみではありません。
多様な文化を尊重する心はもちろん、情報収集能力、プレゼンテーション能力、そして家族を楽しませるというおもてなしの心(自己肯定感)を、楽しみながら学ぶことができます。子どもたちの興味関心も広がります。
体験③
親子で「哲学対話」の時間を持つ

フランスの哲学教育「バカロレア」のように、答えのない問いについてじっくり語り合う時間も非常に有効です。かの地では、3歳から幼稚園や保育園で取り組まれています。おかげで、子どもたちは、自分を知ることに加えて、自分とは異なった考えをする人がいるということを小さな頃から身につけていけるのです。
「でも、『哲学』って、なんだから堅苦しくって難しそう。」と感じてしまう方も多いのが近年の日本だと言われています。
しかし、まったく難しく考える必要はありません。
なにしろ、まぁはすでは、毎日のように行なっているのですからー
何か疑問が浮かんだ時、問題が起きた時、みんなで知恵を出し合うのです。
そうした経験を積みながら、少しずつ、自分はどう考えるのか。どう思うのか。自分だったらどうするのか。子どもたちは内省をしていく練習をしているのです。
「本当の『友達』って何だろう?」
「『優しい』って、どういうことだと思う?」
あるいは、テレビや新聞、本に出てくるテーマを取り上げてもいいですね。
こうした問いに、親は正解を伝える必要はありません。正解は時代とともに流れていくのですから。それ以上に大切なことは、「あなたはどう思う?」と問いかけ、子どもの言葉に最後まで耳を傾ける。その上で、「お父さん(お母さん)は、こう思うな」と、一人の人間として自分の考えを伝える。
たったこれだけでいいのです。
この対話のキャッチボールが、論理的思考力、他者の意見を聞く傾聴力や観察力、そして自分の考えを言葉にする表現力を豊かに育てていきます。
子どもに、自ら考え、行動できる大人へと成長してほしいと願うだけでなく、ぜひ、私たち親も、子どもが自らの考えをもてるように行動に移していきましょう。



