人の幸せを願う 故ロイス・クルーガーと子供たち。

多くの親が子供に願うのは、健康で幸せな人生を歩むこと。

でも、ほとんどの親がその知識も経験もない状態で、ある日突然親になるから、いろんな問題が起きる。

運転の知識も技能もないのに車の運転をするのと、どこか似ているようにすら感じる。

 

横浜の片隅で、ほとんど誰にも知られていない子ども教室まぁはすを始めてから5年目の秋の日


「子供にはたくさんの人格者との交流や体験が必要だよ!まぁはすの取り組みは間違えなくこれからの人材を育てるには必要不可欠なこと。日本人として育てるためには、勉強よりも伝統文化に取り組むことも大事だ。だから、これからも協力していくよ!」

このようにおっしゃり、まぁはすのアドバイザーに就任をしてくれたのは、『7つの習慣』で有名な世界的人事系コンサルティング会社フランクリン・コヴィー社の共同創業者であり、世界110カ国に広めたロイス・クルーガー氏でした。

 

 

 

 

ロイスとの出会いは突然訪れた。   

私が、ロイスと出会ったのは、2018年10月、都内で開かれたビジネス勉強会に参加したときです。そこに参加していたのが、ロイスの友人Kさんでした。私の職業をKさんにお伝えしたところ「来月、ロイスが来日するからよかったら、子供たちを連れておいでよ」とご招待を受けたことが始まりでした。

ロイスといえば、1時間100万円を超える現役のコンサルタントです。その彼のセミナーにタダで、しかも子供たちと一緒に参加ができる!

Kさんってなんて親切で、おおらかな方なのでしょう。これがKさんへの第一印象でした。それは、今でも変わりません。

こうして、研修の休憩時間にオンライン繋いでいただき、ロイスとお話をする幸運を手に入れることができたのです。

 

本物のロイスだ!

パソコンの画面に映し出されたロイスを見て、子供たちは興奮をしていました。興奮なんてものではなかった。キャーキャー、キーキー大はしゃぎでした。

自己紹介をしたり、彼に質問をしたり。

あっという間にセッションが終わったにも関わらず、パソコンを閉じた時に子供たちから漏れたのは、しんみりと「やっぱり、すごい人はちがうね」という言葉でした。

何か“とても大切なこと”をロイスから感じ取ったことがそばにいても伝わって来ました。

 

この日以来、ロイスとは、1ヶ月に2−3度、5から10分程度、オンラインで交流を重ねていました。

 

そんなある日のことです。

ある子供の一言で状況が一変しました。
「ぼく、夢の中にロイスが出て来たんだよ!オンラインもいいけれど、やっぱり本物に会いたい!」
それを聞いた他の子供たちからも「私も“生の”ロイスに会いたいと思っていた」という声があがったのです。

 

本当にロイスが、まぁはすにやって来た!

子供たちからのリクエストに応じることや彼らとの約束は必ず守ることが、暗黙の了解として、私と子供たちとの仲にはあります。だからこそ、信頼関係ができるのだと思います。

今でもくっきりと覚えているあの日。

子供たちよりも、ほんの少し早めに到着をした私たちは、子供たちが描いていたストーリとは異なりました。それが、彼らにとってはよりインパクトを強めたことは確かでしょう。

「えっ、もうロイスが来たの?」

見開く限り最大限に開かれた子供たちの目をみて、ロイスはまるで、いたずらっこのような顔をして微笑んでいました。

この日のために用意したことを次々と披露する子供たちに、今度はロイスが驚く番です。

自分の好きなことや頑張って取り組んでいることなどを英語で伝えたり、
エーデルワイスを英語で謳ったり、
寿限無の暗唱を紹介したり、

それだけではありません。
超多忙なスケジュールの合間をぬって、わざわざ新幹線を途中下車してくれたことを知った子供たちの提案で、
ロイスの大好きなおやつのシナモンロールも作ったのです。

そんな子供たちの一生懸命な姿を眺めて、「これまで食べたどんなシナモンロールよりもおいしい。この味は一生涯忘れないよ」と、優しく、子供たちの労も労ってくれたのです。

子供たちは、ますますロイスのファンになっていきました。
オンラインに加え、この後3度も足を運んでいただきました。

ロイスからのミッション!
コロナ禍が始まってからしばらくし、ロイスから私に2つのミッションが出ました。
1つ目は、まぁはすの取り組みを文章にまとめること。
2つ目は、親の支援にも取り組むこと。

ロイスがこの2つを私に求めた背景には、まぁはすの子供たちとの交流が大きく影響をしていたことは間違ありません。

「彼らのように子供らしく、元気でのびのびと育ちつつも、どの子供も思いやりもあり、チャレンジもできる。好奇心も旺盛だ。今の日本には、そうした子供を一人でも増やしていくことが急務である。そのためには、親も知識を持たなければならないし、経験者が語り、伝承をしていくことが有効なのだ」というのです。

 

まぁはすの子供たちには、「何ごとも、つべこべ言わずにとにかくやること」を求めているにも関わらず、ロイスから出された課題は、私にはあまりにも負担が大きく、なかなか踏み切れずにいました。

しかし、今年2月にロイスが亡くなり、思い出を振り返る中で、ようやく私の中で、まぁはすに込めた想いや、ここで育った子供や現在進行中で育っている子供たちのことを綴っていこうという決心がつきました。
これから、子育てのヒントを中心に、少しずつ書き留めていこうと思います。 うまく書くことができないこともあると思いますが、どうぞ、よろしくお願いします。   2023.4.1